トップカイザーサウンドオーディオクリニックの旅滅多に見ないRevel Audioのスピーカー

滅多に見ないRevel Audioのスピーカー



 ワイドレンジで情報量重視のハイエンドスピーカー


 PA01アンプ2台のモディファイサービスをお届けしたところ、その音のアップグレードぶりに驚かれ、その技術の高さが信頼の裏付けとなってクリニックとセッティングの依頼を受けました。


 レベルオーディオの持て余し気味の重たい低音がスカッと抜けてくれるといいのですが、どこまで化けるかが今日のテーマです。



 40年前のきれいな電気を取り戻したい


 ”電源周りを特に強化したい”と希望を述べておられたので、ナイアガラJr.IIIと出来上がったばかりのタップ専用電源ケーブルAC-RL(Maximum)Type32を用意致しました。このType32は40年前の汚れの無い質の良い電気に蘇らせたいとの強い思いから取り組んだ意欲作であります。


 現代オーディオが抱えている問題の核心部分


 システムの音を聴いて、なるほど電源周りの改善が一番だと私も感じました。しかし、現状のようにスピーカーの抜けの悪い状態でコンポーネントの電源強化を図ると、固まりかけたボンドのチューブの様に更に音詰まり現象が顕著になります。

 音抜けの良くない状態は誰にとっても嫌なものです。こんな時に救世主が現れたように感じるのがソリッドな音の単線ケーブルであります。

 TMDの魅力に惹かれたレイオーディオ時代の寺島靖国氏がその典型です。真に目を向けるべき方向はスピーカーその物の抜けの悪さだったのです。

 そこから先は”オーディオ桃源郷”で語られているので皆さんご存知の通りです。
 ”何故上手く鳴らないのか?”の原因探しではなく、”どうしたら鳴るか?”。それは、まるで着せ替え人形の如く物のすげ替えに突っ走り、彼はケーブルの鬼門にどっぷりと入ってしまったのです。

 他方ではその岐路で迷った挙句、現代ハイエンドとは縁を切り、ヴィンテージスピーカーを中心としたアナログ再生に価値を再発見する人達も後を絶ちません。


 ”音楽を聴く感動と喜び”、即ち満足の提供が出来ない。

 オーディオ業界が抱えている最大の問題点がここです。

 閉塞状態にある今の世界情勢とそっくりそのままです。

 しかし、ここ辺の読みと判断を一般の人に解れという方に無理があります。オーディオとはそれ位奥が深く謎だらけなのです。こればっかりは目の前でクリニックという実験形式で体験して頂く他に方法がありません。

 私は
”オーディオクリニック”という謎解きに勤しむのみです。


 いきなりスピーカーの加速度組み立て


 普段は絶対にこんな順番ではやらないのですが、今日の場合はそれらの効果がしっかりと出るように、スピーカーの側板のネジの入れ替えを中心とした加速度組み立てを施してからにします。


 スピーカーが壁に近いとドライバーが使えないので、一旦広いところまで出します。ネジとワッシャを1個外しては配置換えしたいところのワッシャと入れ替えるかどうか判断しながら組み換えを進めます。


 その際ワッシャに関しても360度の方向の中で音抜けが良くなる向きにして止めます。加速度組み立ての効果を知って頂くために、処置を終えた片方のスピーカーの音を元の音と聞き比べて貰います。

 まったくでたらめな場所に置いても、処置したスピーカーからは一気に演奏が上達したように聞こえます。Sさんもこれには驚かれたようです。続いてもうひとつを仕上げ、同時に両方鳴らした時にはまったく別物のように変身してしまいました。

 とても幸先の良いスタートが切れた今日のクリニックですが、この先どんな音に仕上がって行くのか大いに楽しみです。


 デジタル家電が増え電源の汚染は酷くなる一方


 インターネットによって世界中に張り巡らされたネットワークは、あらゆる情報を享受出来る傍ら、ノイズを撒き散らす加害者になったり、その反対に被害を受けたり、ジキルとハイドの如く二面性を持っております。

 一時は諦めてノイズカットトランスに救いを求めようと思って、その開発に取り掛かろうとした時期もありました。しかし、かたくなにタップ方式に拘ってきた私としては、どうしても他の方式に逃げるような事だけはしたくなかったのです。

 その迷いから引き戻してくれたのは、当時の魅力的な音楽であり、私の身体の中に生き続けている感動でした。それが唯一の生き証人であり頼りになる羅針盤なのであります。安いラジオでもそれはそれは素晴らしい音楽が鳴っていたのですから。


 タップ方式で生きた電気に蘇らせます


 Maximum Type32を壁コンセントからタップ間に繋ぐと、あれほど 嘘臭かった太鼓の音が本物とそっくりな鳴り方に変わるのには驚きを超えてアホ臭くはなるほどです。


 やはり私の身体に、脳に強く残っていた音の感動は嘘でも何でもなく、確かなものだったという得心が行きました。昔は店頭の至るところで魅力のある音がしていたのが蘇った感じです。
 
 ケーブルの方向性の組み合わせと、拠り方のパターンだけでも何百通りの図面を引き試作し聴いたでしょう。

 この2、3年は電源ケーブルとの格闘に明け暮れました。その結果、根気と執念にも似た努力によって、ノイズをもろともせず生き生きと鳴る電源環境をタップとケーブルのみによってとうとう成し得ました。

 この音!、この鳴り方!、この音色!

 私の全身に流れている音楽センサーが反応しております

 川にはめだかやはやが泳ぎ

 糸トンボが飛んでいる光景がまぶたに蘇ります
 
 そんな時代の電気で音楽を聞いて欲しいと思います


 加速度組み立ての連発


 PA01のモディファイ第2弾である加速度組み立て(RK2-PA01)を目の前で手際良くこなして行きます。トランスを外しその下に挿入したインシュレーターのMB-18の配置換えをし、ネジも組み替えです。他の基盤等のネジも適正配置した上で締め直して完了。

 流れるような音楽性と共にSNが向上し、抑揚もより大きくうねるようになりました。ここまで来たらガチガチサウンドのエソテリックのCDにも手を入れたくなります。

 ローゼンクランツのインシュレーターを履かせたところで、自在に回転するようになっている付属のインシュレーターがカタカタ音を立て害がありますので、底板を外して完全撤去します。


 こうなったら勢いで加速度組み立てをやってしまいましょう。底板を開けるとこれでもかというほど多量のネジが使われています。見ただけで肩こりしそうです。

(底板を外した状態)

 電動ドライバーで締める限りは、何千台作っても何万台組み立てても無表情に締めるだけですから、そこからは音楽の魂が伝わる筈など微塵も無いのです。

(ボンネットを外した状態)

 筐体構造を目に焼き付けながら、段取り良くネジを1個ずつ外してはそのネジの最適な働き場所を見つけてやり、そして愛情を込めて締めて行きます。

(側板のネジ)

 この現象は、手入れの悪い音の狂った楽器と見事に調律された楽器の差となって現れるのと同じなんです。

  一つ処置しては確認試聴して頂くので、オーディオクリニックは時間が掛かって大変です。それも分かり易く順序だててお客様の理解度に合わせて、例え話を交えながら行なわれなければなりません。

 この日は夕方の6時から初めて、終わったのが夜も明けようかという午前の4時でした。


 「今日のクリニックの中で印象に残っているのはどの部分でしょうか?」という質問を投げかけました。

 CDプレーヤーの加速度組み立て後に、インシュレーターを入れて聴いた時が一番感動が大きかったそうです。


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